ボトムスを新調したい。今、僕の手元に3本の候補がある。
春、ボトムスを一本入れ替えたい。
そう思って店の在庫を眺めていたら、自分で仕入れておきながら、選べなくなった。
候補はこの3本。
価格もシルエットも、背景にある思想も、全部違う。
だからこそ迷う。
今日はその迷いを、そのまま文字にしておこうと思う。お客様の参考になれば、という気持ちと、書きながら自分の頭を整理したい気持ちが半々。
1本目:C.E / Washed Cotton One Tuck Pants
100%コットン、バックサテン生地、ワンタック、ジッパーフライ。バイオウォッシュ加工で、新品なのに少しだけ着古したような、肩の力が抜けた表情。
C.Eのボトムスは、モードでいて街馴染みがいい。これが一番の魅力だと思う。
ワンタックのシルエットは、腰まわりにゆとりがあって、裾に向かってきれいに落ちる。スウェットを合わせても、開襟のシャツを入れても、どちらにも引っ張られる。トップスの主張に合わせて、パンツ側が姿勢を変えてくれる感覚。
価格も3本の中では一番手に取りやすい。C.Eを初めて履く人にとっても、すでに何型か持っている人にとっても、「もう一本」の説得力がある。
こんな人に向いている:
- 色々なトップスを持っていて、そのどれとも合うパンツが欲しい人
- C.Eの都市的な空気感が好きな人
- モードな一本を、生活のなかで日常的に履き倒したい人
2本目:YOUTH OF THE WATER / 261-03002 Cotton Pants
261-03002 Cotton Pants
¥66,000 税込- MOVIE
" プロダクトに関わる全ての方々が能動的に関われるデザインを目指したデニムです。 "
上田碧さんが手がけるYOUTH OF THE WATER。ジュンヤ ワタナベ マンでパタンナーを5年務めた人の、独立後の仕事。
生地はFINXギャバジン。日本国内で、糸の紡績から製織、縫製まで一貫。縫製は東村山の工場。こういう作り方ができるブランドは、今の日本のメンズでも数えるほどしかない。
履いてみて驚くのは、ワイドなのに野暮ったくないこと。腰まわりはすっきり、裾に向かって自然に広がる。歩くと、生地の落ち感で影が生まれる。止まっているとき、歩いているとき、どちらの佇まいも美しい。裾をロールアップしたときに出る配色のディテールも、さりげなく効いている。
3本のなかで一番高い。でも、この価格には理由がある。日本で作り続けるための価格。それを買うということは、その作り方を応援するということでもあると思う。
こんな人に向いている:
- 素材と縫製の質で一本選びたい人
- ワイドシルエットを、品よく履きたい人
- 日本のものづくりを支えたいという気持ちがある人
3本目:T.T / Lot.719 U.S.Army M-35 Denim Pants
Lot.719 U.S.Army M-35 Denim Pants - TAIGA TAKAHASHI
¥46,200 税込- ポイント3%
" U.S.Army M-35由来の右綾オリジナルデニムパンツ。 "
1930年代のU.S.Army M-35を基に再構築した一本。
生地は、当時のデニムを分析して新たに起こしたオリジナル。グリーンキャストのインディゴの経糸に、生成りがかった緯糸。番手を調整し、打ち込み本数を増やした1/2右綾。左綾の定番デニムとは違う、奥行きのある表情がある。
フロントとバックの大ぶりなパッチポケット。白糸とグレー糸を使い分けたステッチ。シンチバック。一つ一つのディテールに、そのデザインが生まれた年代の根拠がある。髙橋さんが十代から集めた数千着のヴィンテージ研究の蓄積が、一本のデニムに凝縮されている。
デニムは履きはじめが完成形ではない。1年後、3年後、5年後の姿が、買った時点で約束されている。そういう買い物の仕方が好きな人には、たまらない一本だと思う。
こんな人に向いている:
- 一本のデニムを長く、育てながら付き合っていきたい人
- 服の背景にある歴史や文脈に惹かれる人
- T.Tという、今後もう新作が限られていくブランドの仕事を手元に残したい人
で、僕はどれを選ぶか
正直に言うと、今日は決めきれていない。
C.Eは手堅い。日常の稼働率で言えば間違いなく一番高い。
YOUTH OF THE WATERは、履くたびに「いいものを買った」という満足感をくれる。
T.Tは、10年後に答えが出る買い物。
選べないのは、それぞれが違う時間軸で効いてくるからだ。
今週の気分と、クローゼットに既にある服、この春どう過ごしたいか。それを考えながら、もう少し悩もうと思う。